寺宝

唐櫃入紙本墨書一切経

(重要文化財)平安時代後期

唐櫃31合 巻子本 3,398巻 帖装本 1,556帖


 大中臣朝臣安長(おおなかとみのあそんやすなが)が安元元年(1175)より治承2年(1178)にかけて書写させ奉納宇した4,954巻が31合の黒漆塗唐櫃(内1合は重文指定外)に納められている。 そのうち大般若経600巻を納める唐櫃6合には、中尊に釈迦如来又は般若菩薩を配したものと、中央の宝幢に「大般若波羅蜜鱈多経(だいはんにゃはらみつたきょう)」と題したものとに、それぞれ十六善神が取り囲むように金銀朱漆で描かれた蒔絵(まきえ)の中蓋と側面に蓮池を蒔絵で描いた小函10個を左右に5段ずつ備えている。


 なかでも3世紀〜5世紀以降、本家の中国でさえ原本の所在が不明で「幻の経典」とまでいわれている『本行六波羅蜜経』や『度梵志経』、『毘羅三味経』、『清浄法行経』等々の写経が含まれていることが、平成2年に学者グループによって解明され、20世紀初頭の敦煌・蔵経屈での大量出土以来の大発見としてマスコミ各社により大々的に報道され一層注目を集めている。